「どうしたの?」
篝が紗綾に近寄った。
「これさあ、なんかおかしくない?」
と、篝に90ページを開いた状態で本を渡した。
紗綾は、カバンから自分の台本を出し見比べようとしていた。
「ほら、ここ」
篝に見比べさせる紗綾。
じっくりと見始める篝。
「あっ!」
やっと気づいたようだ。
「こんなページ今のにはない!ねえ、見てこれ」
「あっ、本当だ!」
見事な、それは見事な下手な演技をしてしまった。
「なんか、陽子ちゃん感動してないね」
「どうして?」
「わざとらしいもん」
「(ギクッ)なにが?」
「なんとなく。ねえ、みんな!」
「そうね、驚いてないわよね」
紗綾が言った。
「他人事みたい」
智恵理が言う。
「ほんと、ほんと」
紅愛が続く。
みんな寄ってたかって、どういうつもりなのよ。
(気にしない、気にしない)
紗綾がテレパシーを送ってきた。
(なによ)
(今、みんなで言ったから、篝ちゃん疑わなくなったわよ)
篝を見た。
不思議そうに本を見ている。
「どうして、これだけが・・・・」
篝が本を読み始めた。
智恵理がと紅愛が横から覗きながら読んだ。
その間、紗綾とふたり、ケーキを完食してしまった。
すると、新しいケーキが運ばれてきた。
三人が読んでる間に、三つも食べてしまった。
イチゴショート、モンブラン、チョコレートケーキ。
どれも自家製だから格別に美味しかった。
篝たちが読み終わって紗綾とふたりで顔を突きあわせながら読んだ。
そこに書かれていたのは、主人公の心の声だった。
それは、人やすべてものに対する想いだった。
「思いやるこころ・・・・」
口に出た言葉だった。
私の心に重くのしかかってきた。
簡単に聞こえる。誰もが知っている。
そんな、ありふれた言葉なのに、今の私には重く感じられた。
それは、他のメンバーも同じだったみたいだ。
智恵理と紅愛はお互いを見ていた。紗綾は天上見ていた。
篝は目をつむっていた。




つづく