起きない。本当に眠ってしまっていた。
こうなるとちょっとやそっとでは起きない。
両肩をつかみ、大きくゆらす。
篝の身体が前後左右に大きく揺れる。
それでも篝は、
「ううううう」
唸るだけだった。
それでも揺らし続けた。
おばあちゃんはニコニコしながらその光景を見ていた。
少し篝の目が開いた。
このチャンスを逃すとまた時間が掛かる。
「篝!篝!起きて!篝!」
「ええっ・・・・」
やっと起きた。
「もう、食べれないよ」
「何、言ってんのよ。お客さんだよ」
その言葉にやっと両目を開けた。
そして、おばあちゃんを視界に捕らえると、
「すいません。はじめまして。わたし・・・」
「篝ちゃんね」
おばあちゃんの暖かい声だった。
篝は笑顔になった。
「はい!」
すごい元気が篝に宿った。
その横で、紅愛がお腹を擦っていた。
つづく