そして、ひとつの原因が浮かび上がった。
台本の90ページ目が別に存在するという噂だ。
「マジで」
智恵理に聞いた。
「ウン」
智恵理達組織が、元演劇部の人たちに徹底的に聞き込み調査したおかげで分かったのだ。
「もしかして、そのせいで今までの公演が失敗していた・・・・」
「かもしれない」
智恵理は冷静に言った。
「でも、どうやって探せばいいの?」
「今、組織のほうで卒業生一人ひとり、台本を持っていないか確認しているところ」
「そう・・・・」
気の長い話だ。組織がどれだけの大きさかこれで分かる。
紅愛と愛葵は不安に駆られていた。
ちなみに、愛葵の存在は篝以外には明かしてあった。

 翌日には調査の結果が出た。九州宮崎県都城市にその人物がいることがわかった。
昨日の今日でもう見つかった。なんという組織だ。
これで安心だ。と思ったらここからが大変だった。
この台本を篝が取りにいかなければならないのだ。
それは、アクアのコンピューターがはじき出した答えだった。
90ページ目のスタートを、スイッチを入れた篝以外の人間が手をだすと
何が起こるか想像つかないということだった。
篝に今までのことをすべて話すのか、多分それはできない。
篝の気持ちを考えると無理だ。
とにかく、九州まで篝を連れ出さなくてはならない。それも急ぎで。
協議した結果今週末の土日にかけて行くことを決めた。
旅費は組織がすべて出してくれることになった。
これって税金?なんてことは、この際考えないことにしよう。
篝を九州に連れ出す為の作戦が決まった。
その1、智恵理が何かの懸賞で旅行宿泊券を当てたのでみんなで行こうと篝を誘う。
その2、九州では偶然を装って90ページ目の存在を篝に教える。
その3、それを持っている人が近くにいることを篝に教える。
その4、そして90ページ目を手に入れる。
これが、私たちが考えたこと。

つづく