翌日から、練習は更にキツイものになった。
寝る間も惜しんだ(篝の居眠りである)。
朝錬として普段より2時間早く登校した。
昼休みも練習はあった。
また、衣裳や小道具、大道具などの作成も自分たちだけでやった。
そう、篝はすべて自分たちの手でやりたかったのだ。
楽しいときより苦しいときのほうが時間の流れが速いと聞いたことがあるが、
そんなことはない。
今、8倍速くらいの速さで時間が経っているような感覚がある。
あっという間に一時間が経っている。
時間の大切さがよく分かるし、無駄にできないこともよく分かった。
自分に厳しくするということがよく言われるが、
それって時間をどう使うかってことじゃないかと思う。
時間の使い方がうまいと自分に厳しくしているように見えるのだろう。
一分、一秒をうまく使うことが出来れば何でも出来るのかもしれない。
 今の私たち演劇部員は出来ていると思う。
誰も一分、一秒無駄にはしていない。
正直、楽しいやら苦しいなんておもってもいない。
ただ前に向かっているだけだった。

 そして、アクアから紅愛が戻ってきた。
その表情は厳しいものだった。
超災害ゲージが上がり続けているというのだ。
信じられない。だって篝は前向きにがんばっているし、
精神的にも落ち込んでいるようには見えない。
じゃ、なぜ?
結果、愛葵も調査のため居残ることになった。
紅愛と愛葵はたまに入れ替わり練習に参加していた。
それは誰にも分からなかった。
あっという間に2週間が経った。舞台は完成に近づいていた。
だが、アクアの超災害ゲージは依然上がり続けていた。原因は未だ不明。
紅愛と智恵理は練習の時以外は調査に出かけることが多くなった。




つづく