気がついたのは、もうどっぷりと陽は落ちてすっかり夜になった頃だった。
ベッド傍には篝、紅愛(愛葵〉、紗綾、智恵理がいてくれた。
「よく寝てたね」
呆れる様に篝が言った。
「五時間も寝てたんだよ」
紗綾が優しく言ってくれた。
あの“ドッキン”は治まっていた。
大きく深呼吸をした。ついでに背伸びも。気持ちよかった。
「大丈夫?」
智恵理が言った。
辺りを見回した。先生はいなかった。
「うん、もう大丈夫」
「どうしたの?」
篝が言った。
「よくわかんない」
「なにそれ」
本当にわからないのだ。
“ドッキン”と心臓が鳴った。それも沢山鳴った。ただそれだけだった。
それをみんなに話していると保健の今西恵子先生が入ってきた。
「どう、大丈夫?」
「はい、もう大丈夫です」
額に手をあてた。両目を見た。聴診器で胸の音を聞いた。
「うん、正常だね」
「もう帰ってもいいですか?」
「いいよ」
「じゃ、帰ろう」
篝が音頭をとった。



つづく