家に帰ってからも、ワクワクした気持ちが心の中にあった。
こんなことは今まで一度も無かったと思う。
新しい発見だ。今まで篝には何度と無く無理やりやらされた事があったが、
今回も無理やり引きずり込まれて始めた演劇だけど、
分けのわからないことに色々巻き込まれているけど。
なんか、楽しくなってきている。自分の中で確実に変化が起こっている。
頭を冷やすのに一番いいお風呂で出た答えだった。
明日からもっと楽しんでやる。と思っているうちに眠りに着き、朝を迎えていた。

 少し黒い雲が広がっていた。だから学校への道のりは快適だとはいえなかった。
それに、いつもと違い考え事をして歩いていた。
昨日の事がまだ頭の中でグルグルと旋回飛行を続けていた。
教室に入ってからも、ただじっと座っていた。
傍から見ると放心してるように見えていたと思う。
そんな時、廊下を走ってくる輩がいたらしい。
「走るなって言ってるだろう」
「走ってません!下半身だけが3倍速してるんです」
というやり取りが聞こえていたらしい。教室内は爆笑だったらしい。
ドアが開いた。その瞬間、篝が叫んだらしい。
「陽子ちゃん!どうして、起こしてくれなかったの!」
教室にいた全員が私を見たらしい。
その時、右肩を叩かれた。
「陽子さん。篝さんが呼んでいるわよ」
声の方を見た。そこには智恵理がいた。
「あっ!」
出た言葉はこれだけだった。
篝が、何か言いながらやってきた。
これは目視できた。らしいと言ったのは後から聞いたからだ。
「陽子ちゃん!どうして、起こしてくれなかったの?」
「あっ!」
また、出た言葉はこれだった。
「どうしたの?」
篝が心配した声を出した。
「えっ、あっ、うん」
「何、言ってるの?大丈夫?」
「大丈夫だって」
紗綾が口出ししてきた。
「ちょっとした麻疹みたいなもの」
「えええええええええええ、陽子ちゃん麻疹まだだったの?」
「いや、そうじゃなくて」
智恵理が突っ込みを入れた。
これは中々いいタイミングだった。
「それはね・・・・」
「おい、いつまでそうやってんだ?そろそろ授業やっていいか?」
と英語の三上洋一先生が言った。
その言葉にも慌てることなく、篝と智恵理と紗綾は自分の席に着いた。
そして、厳かに授業が始まった。
 いつも元気な篝はラストスパートと言ってみんなにはっぱをかけた。
朝からだ。それも授業中に。
今日はやたらと元気が良い。
私とは好対照だ。昨日のワクワク感が消えている。
残っているのがモヤモヤ感でもないし、イライラ感でもないし、何だろう?
そのまま、六時間目まで過ごし放課後を迎えた。
智恵理が戻ってきた事は大きいのだが、心の中の何かがあるからそんなに喜べなかった。




つづく