「たしか、この辺りなんだけど・・・・」
閑静な高級住宅街。
その中に小さな神社があった。
「ここだ」
智恵理が言った。
「神社・・・・」
(神様・・・・)
という文字が頭に浮かんだ。
綺麗に掃除が行き届いている清々しい場所だった。
お社の左脇に社務所があった。
篝がそのベルを鳴らす。
応答はない。
篝がまたベルを鳴らす。
応答は無い。
また鳴らす。
応答はない。
また鳴らそうとする。
「ちょっと、もういいんじゃない」
篝を制すると、
「気付ていないかもしれないじゃない」
とベルを押し鳴らす。
「はーい」
返事があった。
「ほらね」
自慢げに私の顔を覗き込む篝。
中から出来たのは、品の良い雰囲気が漂う女性だった。
年のころとしては紗綾のおばあちゃんぐらい。
「どちら様で?」
「あのう、私たち紗綾さんのクラスメイトで・・・・日向篝といいます」
「あああ、まだ、具合が悪くて休んでいるんですよ。ちょっと待ってください」
と言って奥へ入っていった。