それから一週間が経った。
出雲先生と櫻田先生の視線が痛かった。
だが、あれ以来一度も呼び出されることはなかった。
智恵理が抑えてくれているのかもしれないと思った。
(ありがとう。智恵理)
もうひとつ、気がかりな事があった。
紗綾だ。この一週間、学校には現れていない。
体調不良のためと届出はあった。
アクアで別れた後何かあったのか、
紅愛に尋ねてみるが何もアクアからは何も報告は無いという。
気になる。
稽古は順調に進んでいる。
紗綾のところは飛ばしていた。
代役では物足りなくなっていたからだ。
稽古終わりで、篝が急に紗綾の家へ行くと言い出した。
しかし、誰も紗綾の家を知らない。
智恵理が担任の出雲先生から住所を聞きだしてきた。
片付けもそこそこに部室を後にした。

「たしか、この辺りなんだけど・・・・」
閑静な高級住宅街。
その中に小さな神社があった。
「ここだ」
智恵理が言った。
「神社・・・・」
(神様・・・・)
という文字が頭に浮かんだ。
綺麗に掃除が行き届いている清々しい場所だった。
お社の左脇に社務所があった。
篝がそのベルを鳴らす。
応答はない。
篝がまたベルを鳴らす。
応答は無い。
また鳴らす。
応答はない。
また鳴らそうとする。
「ちょっと、もういいんじゃない」
篝を制すると、
「気付ていないかもしれないじゃない」
とベルを押し鳴らす。
「はーい」
返事があった。
「ほらね」
自慢げに私の顔を覗き込む篝。
中から出来たのは、品の良い雰囲気が漂う女性だった。
年のころとしては紗綾のおばあちゃんぐらい。
「どちら様で?」
「あのう、私たち紗綾さんのクラスメイトで・・・・日向篝といいます」
「あああ、まだ、具合が悪くて休んでいるんですよ。ちょっと待ってください」
と言って奥へ入っていった。





つづく