めちゃくちゃ大きい病院だった。
未来の病院ってこうなんだとまじまじと見回した。
まだ足の裏に虫たちを踏んづけていた感覚があった。
「陽子さんの手当てを」
愛葵が近くにいた医者に言った。
「よく、気付いたわね。血で助けられるって」
「偶然です・・・・」
「やはり、陽子さんは・・・・」
「あんまり、本人に言わないでください。すぐ調子に乗っちゃいますから」
すぐさま横から紗綾の軽口だ。
「あのね・・・・誰がお調子者だって」
愛葵が笑った。
今気付いたが、愛葵のほうが紅愛より本心で笑っているように見える。
その笑顔は十分に可愛い。
右手の人差し指にピンクの絆創膏が巻かれた。ちょっと恥ずかしい。
篝は俗に言うICUに入っていた。意識レベルは低かった。
「大丈夫かな・・・」
「大丈夫だよ」
紗綾の言葉に勇気を貰った気がした。
その時、大きな揺れを感じた。
「地震だ!」
「これって、まさか?」
愛葵はすぐにどこかに連絡を入れていた。
「わかったわ」
愛葵の表情は重たいものだった。
「超災害が起こったわ」
「どこに?」
「今度は東京州目赤市に・・・・」
聞きなれない地名だった。
そうだ、ここはアクアだ。
改めて別世界に来ていることを実感した。
「どうして?篝は助けたじゃない?」
「多分、意識が戻ってないことと、元の世界にいないことが原因かと・・・」
冷静に愛葵は分析した。


つづく