「そろそろね」
紗綾が意味深な発言をする。
すると、遠くで何かが動いたような気がした。
黒い影が数体左から右へ動いた。
目を凝らす。段々慣れてきた。
急に、明かりがついた。
そして、車が何台も私たちの前に止まった。
ヘッドライトがとてもまぶしかった。
気がついたときには軍隊に囲まれていた。
はじめて、本物の銃を見た。
一台の車から降りてきた人物に目を奪われた。
「紅愛?・・・・」
と、呟いてしまった。
「あなたたちは、だれですか?」
その紅愛が質問をしてきた。
「紅愛・・・・?」
「どうして、その名を?」
「えっ・・・・紅愛なの?」
「私は、紅愛の双子の妹、愛葵」
「えええええええええええええええええええええええ」
「・・・・もしかして・・・・陽子さん?」
「・・・・はい・・・・」
「やはり。報告通り、リアクションが派手ですね」
「はあああああああああ?」
そんな事まで報告していたんだ。
クスクス笑っている紗綾。
「ってことは、ここは・・・・?」
「そう、アクア!」
「あなた、紗綾さん?」
「はい!」
「ちょっと待って!どうして私たちがここにいるって知ってるの?
紅愛には話してなかったはずなんだけど?」
「まあ、ザックリいうと異常な磁場の乱れを検知したの、それで」
「んんんんんんんん」
と唸ってしまった。紗綾を見る。ニコニコしている。
「紗綾、わかってたのね?」
「だって、愛葵チンの力借りないと無理だもん」
「何が?」
「色々と・・・・」
(やっぱし、私には詳しいことは教えてくれないんだ)
(拗ねたってしょうがないよ)
(だから、こころを読むなって言うの!)
「ところで、あなたたちどうしてここへ?」
「篝ちゃんを探しに来たの?」
「えっ・・・・」
「だから、手伝って欲しいの」
「どうして、ここアクアに居ると?」
「なんとなく・・・・どうしても・・・・」
愛葵は紗綾と向き合ったままだった。少し時間が経った。
「わかりました。お手伝いします」
と愛葵が答えた。
「ええええええ、意外と簡単な・・・」
「ウフフフフフフフフフフ」
と意味深な笑い方を紗綾はした。
愛葵は振り向くと、軍隊の隊長さんみたいな人に何かを告げた。
隊長さんは右手をサッとあげるとヘリやら車やらが一斉に帰って行った。
いままでのことが嘘のように辺りが静まり返っていた。
「さて、何から始めますか?」
「そうね・・・・とりあえず、ごはんが食べたい」
なんとありふれた答えだ。
紗綾の考えや思いがさっぱり理解できなかった。
愛葵は、長さ9メートルはあるだろうリムジンに私達を乗せた。



つづく