日が暮れかけていた。このまま、帰るわけにも行かず、部室でじっとしていた。
紅愛の国でも今、対策は練られているみたいだったが、有効な案はまだでていなかった。
智恵理の属する機関もこれと言って動きは無かった。
紗綾をずっと呼び続けているが返事はなかった。
当たり前だった。
私にはテレパシーを使う能力は無かったからだ。
普通の女子高生なのだ。
紅愛はアクアとの連絡を密に取るため自宅へ帰った。智恵理も機関に向かった。
私は、教室に居ても仕方ないので、学校を後にした。
日が完全に落ちたとき、紗綾が現れた。
「どこ行ってたの?」
「秘密」
「今、どういうときかわかってるの?」
「理解はしてる」
相変わらず紗綾は冷静だ。
「さあ、行きましょ」
「篝の居場所知ってるの?」
うなづく紗綾。
「知ってる」
「そこに行くのね」
「そう」
「じゃ、一度家に帰って準備しなくちゃ」
「なんの?」
靴を汚したくないということは言えなかった。
「やっぱり、急に行くと不都合があると思うの。そう・・・・もっと動きやすい服とか・・・・にね」
「・・・・」
「少しぐらいわかってよ」
「いいよ」
「じゃ、2時間10分後に、南公園のブランコの前で」
「わかった、南公園のブランコの前ね」
紗綾がうなづいた。
「紅愛たちには連絡するの?」
「今回は連れて行けない」
「どうして?」
「どうしても」
それ以上は聞かなかった
。紗綾にも色々事情ってものがあるのだろうと推測出来たからだ。
それにしても中途半端な時間だと思った。
きいてもよかったが時間が勿体無くおもい、後回しにすることにした。
兎に角、今は汚れてもいい服と靴に変えることのほうが先決、
もうお気に入りをドロドロに汚したくない一心だった。



つづく