以外に荷物は重たいし、かさばるものだった。
両手いっぱい使っても足りないくらいだった。
休み休み学校へと向かった。30分ばかり話し込んだ。
篝からの電話が来る前に、店を出た。
ホームに着くと電車がすぐに入ってきた。
車内は人が多かった。
荷物が多いから、車両の先頭部の広い場所をキープした。
悪戦苦闘とはこういうこともいうのだろうか?
電車が着いて降りるのに時間がかかった。
エレベーターがあってくれてよかった。
駅前でタクシーに乗ろうとしたが、一台もいなかった。
「マジッ」
バス停に行く。時刻表を見ると出発したばかりだった。
あとのバスを待つ時間があれば、学校に楽勝で着く。そう判断した。
それは間違いだった。
普通に歩けば楽勝なのだが、この荷物を・・・・簡単に考えていた。
坂は、キツかった。
校門に来るまでに5回も休憩した。
部室に着いたときには、両手が紫色になっていた。
「遅かったね」
紗綾だった。
もう、練習は終わっていた。
「みんな待ってたのよ」
紅愛が言った。
「それはそれは」
衣装の入った袋をテーブルの上に置いた。
「うわっ、すごい」
紗綾だ。
「あれ、篝は?」
「さっきまでいたけど・・・・」
よく見ると、いるのは紗綾と紅愛、顧問の出雲先生だけだった。
「いやあ、ごくろうだったな」
「そう思うんだったら、一緒にきてくれてもよかったんじゃないですか先生」
「いやあ、そうだね。気がつかなかった、ハハハハハっ」
ノー天気な発言。
「春日さんは?」
気になったので聞いてみた。
紅愛が小さい声で、
「多分、篝さんの護衛に」
「ああああん」
と頷いた。
「ねえ、どう?似合う?」
紗綾が適当に衣装を取り出し、早速、試着していた。
結構似合っていた。男装の麗人的な雰囲気をかもし出している。
「やっぱり、私素敵でしょ!」
なんというコメントだ。宇宙人・神様ってこんな人なのだろうか、
私はなにを信じればいいのだろうか。
「霧島さん、ちょっと・・・・」
紅愛の少し真剣な顔があった。
「なあに?」
腕を捕まれ廊下に出た。
「どうしたの?」
「アクアの余震が止まらなくなっているみたいなの」
「えっ・・・・・どうして?」
「篝さんになにか変わったことはない?」
「別に・・・・これっといって・・・・」
「でも、なにか変化が起こっていることは間違いない」
“それでなければ余震が続くわけがない”と言いたかったのだろう。
紅愛の表情で読み取れた。
(やっと篝の声が出て、元に戻ったと思ったのに、
どうしてこうも次から次といろんなことが起こるんだろうね、まったく)
と心の中で呟いてみた。
そろそろ強烈なストレスというものが私の身に降りかかるような気がしていた。
(大丈夫だよ)
紗綾のテレパシーだ。
(紗綾?)
(他に誰かいる?)
(そうじゃないけど・・・・)
(大丈夫だよ。陽子ちゃんはちょっとやそっとじゃストレスなんかに負けやしないから)
(それは、褒めてるの?)
(当たり前じゃない)
(そうには、受け取れないけど)
(考えすぎ・・・・)
(今はみんな、陽子ちゃんに頼るしかないんだから)
(・・・・)
「どうしたの?」
紅愛が、急に黙り込んだ私を見て話しかけてきた。
「ううん。なんでもない」
怪訝な顔の紅愛。



つづく