やっぱりだ。紗綾は、宇宙人だ。人間には理解出来ないと言った。
テレパシーを送ってくることをプラスして考えると、
確実に人間ではないという証明になる。
「私たちの科学力じゃ駄目ってこと?」
「そうね・・・・あと、百年は必要かな。人類が生き延びてたらの話だけどね」
「生き延びてたら・・・・」
「そう」
「どういうこと?」
智恵理がくってかかる。
だが、今はそんなことをしている場合じゃない。
篝の身体を治すことが先だ。
「ねえ、どうすれば、どうすればいいの?」
この一言に智恵理がムッとした表情をする。
「・・・・」
「ごめん。でも今は篝が先!」
「・・・・それもそうね」
紅愛が言った。
智恵理の顔は怒っていたが、今は兎に角、
篝を元に戻さないと超災害が起こり続ける可能性がある。
「わかった。陽子ちゃん、目を瞑って。あなたたちも」
言われるまま目を瞑る。
身体がすぅーっと浮いたような感じがした。
それは数秒のことだった。
「もう、いいわよ」
そうっと目を開けると、目の前には滝があった。
「確か・・・・部室だったよね」
智恵理が驚いた顔をしている。
「・・・・なにこれ・・・・?」
紅愛も驚いている。これが、目が点になるということだと知った。
「・・・・」
なにも言うことはなかった。
イカン。完璧にアニメ・特撮の世界に舞い込んだ。
可愛らしい頬をつねった。
痛かった。
夢ではなかった。
「そろそろいいかな?」
紗綾が言った。
「何をしたの?」
「さあ・・・・それよりここから先は陽子ちゃんひとりでやってもらうから」
「えええええええええええええええええ」
いつもよりごねてみた。
だからといって状況が変わるわけではなかった。
初めから分かっていたことだから。
「あの滝つぼの横に、洞穴がある。
その中に、真っ白な花が咲いている。
それを摘んできて欲しい。
ただし、香りが一番きついもの」
「それで・・・・?」
「それだけ」
「えええええええ」
「それだったら、私じゃなくてもいいんじゃないの?」
「それは違うよ。ちゃんと理由はあるから。がんばって」
と、背中を押された。
「私も行きます」
智恵理が言ってくれた。
「だめ!」
「どうして?」
「あなたには探せないから」
「どうして?」
「どうしても」
「じゃ、私が行く」
紅愛が言った。
「だめだって」
「ええっ」
「あなたにも探せないし、特にあなたは足手まといになるから」
「どうして?」
「どうしても」
ふたりの同行は阻まれた。
「じゃ、気をつけて」
紅愛が易しく言ってくれた。
「うん」



つづく