紗綾に会うことを考えて正門コースを選んだ。
すれ違う学生たちの顔をチェックしながら正門近くへ行くと、
智恵理と紅愛がふたりして待っていた。
「紗綾は?」
「多分、部室じゃないかな」
「教室にはいなかったから」
「わかった」
智恵理と紅愛も紗綾がなにを言い出すか見てみたかったのだろう。
同じように走って部室に向かった。
ドアを開けると紗綾がいた。
「遅い!」
「ごめん」
「どこ、行ってたのよ?」
「篝を家まで送ってきたの」
「そうなんだ」
「それより、本題にはいりましょう」
智恵理が冷静に言った。
「あなたたちも来たんだ」
「ええ」
紅愛が言った。
「原因はなに?」
単刀直入に聞いた。
「異界からのウイルス」
「・・・・」
もっと、ましな答えはないのか?
「分けわかんないんだけど・・・・」
「歪みが起きたとき、偶然異界とのトンネルが出来た。
そこからウイルスがとんできて、篝ちゃんの喉に寄生した。
簡単にいうとこんな感じかな」
「どうして、あなたにわかるの?」
智恵理のもっともらしい質問だ。
「どうしてって・・・・わかっちゃうから仕方ないよね」
「冗談じゃ済まないのよ」
紅愛の切羽詰まった言葉だ。
「冗談じゃないよ」
「どうやって調べたの?」
「あなた方に理解できるんだったら、もうとっくに症状を解明できてるでしょ」
「・・・・」
「理解できないと思うよ」
「どうして?」
「難しいから」
サラッという紗綾。
「聞いてみないとわからないじゃない」
「無理よ。人間にはね」



つづく